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保育器の中の翔悟
夕べ病院に居る長女からメールが届いた
「翔悟が夕方6時、目を爛々と明けてダンスをしているみたいに動いたよ
感染症の数値も昨日より下がった!」
文面と一緒に翔悟が初めて目を明けている画像も添付されていた
私の携帯を取り囲んで夫、次女と微笑みながら食い入る様に見つめた。。。

先週の土曜日、長女の息子翔悟は小児科病棟のNICUに移動された
生後二日と数時間 順調であれば退院まで母親との同室になるはずだったが
僅か数時間で再び連れて行かれた
NICUとは新生児集中治療室の事
保育器に入り【周産期細菌感染症と多血症】改善の点滴治療を受けている

私達が目を明けている翔悟を見るのは初めて 長女も余りなかったらしい
翔悟は会いに行く度目を閉じたままで動く事がなかったが
ダンスをしている様に見えるほど活発に動けるようになったんだ
経過良好(*^_^*) 翔悟、良く頑張ったね
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1月20日(土)
午前中は母の元に居た 
いつも通りの世話を済ませ談話室でうめこさんがやって来るのを待った
11時頃になると午前中のおしぼり仕事と昼食の為各棟から元気なお年寄りが集まってくる
母が入所してもう直ぐ5ヶ月。。。その間に二人だけ母の記憶に残る友達が出来た

ひとりは君子おばあちゃん そしてもう一人はうめこさん
母はともかくうめこさんは母さんと私のペアの印象が残っているのか
談話室に来ると私達の近くに車椅子を止めてくれと介護員に要求する
介護員がうめこさんの思う位置に車椅子を置いてくれないと今度は自分で近づいてくる
「遠くに離れているとおばあさんと娘さんの顔が見えなくて寂しいから」ありがたい言葉だ
母さんもこの声で笑顔になる

私はいつもテーブルの上にありったけの物を置いてわざと散らかしておく
母の指マッサージの為の桶・目ヤニを取るオイルやコットン・新聞紙 そしてお茶道具
几帳面な母はうめこさん登場でテーブルの上を片付けるよう私に言う
言い出ださなくてもこれらを片付けるからと席を立つ私を制しない 

うめこさんは毎回「今日は泊まっていくかい?」と私に聞く
「これを片付けたら一緒に泊まってくよ」
母さん。。。考えてみたら私はこの5ヶ月間随分沢山の嘘を言い続けて来たね
私はもう嘘をついて帰る事にそう罪悪感を感じなくなったよ

「覚えているわけじゃないから。。。」と自分に言い聞かせてきた
そして私がどんなに母の世話をしても記憶には残っていないだろうと思っていた
が。。。後者は違うんだと最近思う

認知症は物事すぐ忘れる だが完全喪失ではない内は脳裏の片隅に小さく残っている
認知症は長時間記憶維持が出来ない だから日に何度かスイッチが入れ替わる
母の脳裏にこの5ヶ月間二人の記憶があり、私の顔を見た途端そのスイッチがオンになる
そして私が居なくなった途端 そのスイッチがオフになって私の記憶は一時止められる

母さん。。。私がもし常に母さんの頭のスイッチオン状態を期待していたとしたら
私の介護は母さんが父さんと在宅している時に既に終わっていたはずだよ
毎週会っていてもその記憶がないけれど我が家の近くになると思い出してくれた
思うんだ。。。
私が居ない時はその記憶はしまって置いて私といる時だけスイッチオンで十分だって

さてと。。。うめこさんも来た事だし。。。退散だ(笑)

自宅に戻って次女と昼食を済ませて冬音とのんびりしている時だった
「翔悟が血液検査で引っかかって入院になったの 頭が真っ白。。。
これから看護師が説明に来るって」と長女からのメール
何度かやり取りをしていたがこんな事をしているより駆けつけた方が早い
『しっかりしなさい!』とメールを送って病院へ向かった 13:00

賢くんが長女を励ましている所だったが私の顔を見た途端大粒の涙を流した
『小児科の先生に何て言われたの?』
パニック状態の娘は断面的な言葉で覚えていた 血糖値が低い・血液が濃い・輸血

自宅に居る次女に【新生児】の言葉を付け加えたこれらの言葉を
ネットから検索してデーターを送ってくれるよう頼んだ
数分後【多血症】の病名が返ってきた
「そう言えばそんな言葉を先生が言っていたような。。。」と長女

病名は分かった。。。後はより詳しい報告を看護師から待つのみ
所が1時間経っても2時間待っても看護師はやって来ない
夫も心配して駆けて付けて来たがそう皆で集まっていても無意味なので一旦戻ってもらった
同時にナースセンターに問い合わせた

15:30 賢くんと長女が小児科NICUに入って行った
数分後カーテンが開けられ保育器に入った翔悟と体面
冬音とは違って翔悟は一度も抱けずにまたガラス越しの対面か。。。
紙おむつ一枚の裸姿、か細い左手に点滴針が刺されて室温31,5度に保たれている

看護師から状況説明を聞いた賢くんが夫と私に診断書の写しを見せながら説明してくれた
紙には周産期細菌感染症と多血症と書かれていた

赤血球の数値が高い為、今その濃度を薄める処置を行なっている
期間は1週間が目安 何度かの血液検査で改善が見られない場合
交換輸血をして更に血液を薄めるようだがそれは最悪時の場合 
 
『感染症って原因は何?』
「それが何処からなのか分からないみたいで、多分体内から出産した時だと・・・」
賢くんからの説明を聞いて安心した 
早期発見で早期治療がなされたんだ 時を待つしかない

夫より一足先に次女と冬音が待つ自宅に戻った16:00 緊張の3時間だった
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1月21日(日)
午前中の長女の都合に合わせて病院へ向かった
翔悟は保育器に入ってしまっても日夜問わず3時間毎の搾乳がある
直に赤子に吸われないのは乳頭も出ず辛いものがあるだろうが
めげるな新米ママ! 顔色が昨日と全然違って笑いが出てきた その調子だ!

午後久しぶりに渓くんが我が家にやって来た
来週から会社の研修もあり更に忙しくなる+更に妻や娘に会う時間もなくなるらしい
『3時間位なら冬音を見てあげるから二人で買い物に行ったり住宅に戻ったら?』
「ばあばの病院は?」『午後はずっと家に居るよ』次女の顔が輝いた
母親と言えど未だ二十歳 退院して来てから殆ど外出もなかったもんね

賢くんのご両親が我が家を訪れ、帰った後冬音を置いて二人で外出して行った
帰宅予定は5時半 2時間半の間冬音のお守りを楽しんだ

3:30pm 良い子で寝ていた冬音が泣き出した おむつを替えミルクを80mlだけ作った
余り満腹状態にしてしまうと帰った娘の胸が痛かろう。。結構気を使うわ
冬音は一気に飲んで爆睡した(笑)母乳と哺乳瓶の違いだな。。。
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その後娘が帰って来ても起きもせず良い子で寝ていた(* ̄m ̄)
僅か1ヶ月違いの赤子だけれど80ml を平らげてしまう冬音と
たった10ml足らずで眠ってしまう翔悟 同じ孫なのにこの違いは何だろう
不安顔は我が家では禁止だ 母の母(私)はもっと強くなければ!

その後冒頭で書いた長女から嬉しい報告メールが届いたわけで。。。(*^_^*)
土曜日と打って変わって日曜日のYUKI家は穏やかに終わったとさ
by r-petal | 2007-01-22 14:29
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