おむつ券
昨日買った14袋のおむつ類 さて。。何処に置いておこうか
暫くは私の仕事部屋に運び必要分だけ病室に持って行こう
余ったら父さんの家で保管しておいてもらおう
これは母さんから父さんへのプレゼントだから
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昏睡状態 経管栄養中止22日目 3階療養病棟46日目 発症から95日目

5月11日(金曜日)
母さん、いよいよ季節も夏、「今日も暑いね~」が挨拶代わりになったよ 
母さんが発症した時は2月で「今日も寒いね」だったのにね 
母さんは汗かきだったから夏が苦手だったね 
果物ジュースより薬用ドリンクが大好きだった 
母さんの為に買い置きしたそのドリンクは未だ家の冷蔵庫にそのまま残っている
そのドリンクは夫に飲んでもらおうね

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病室に入った途端Fさんが部屋に入ってきた
「YUKIさん、おむつ券って届いていない?」
『タクシー券なら聞いた事があるけれど父さんに聞いてみます
でもおむつ券って在宅介護対象じゃなかったっけ?』

ここ最近Fさんの所にこのおむつ券の事で家族から問い合わせが来るらしい
何時からこのサービスが始まったのか分からないが市では
【紙おむつ等購入券交付事業の申請】を行っているらしい

対象者は市内に住所を有し在宅で生活しているお年寄り
(施設入所等は対象外)で以下に該当する人
1、介護保険法による要介護4・5の認定を受けていて介護保険料段階が1・2・3
(非課税世帯)
2、介護保険法による要介護3の認定を受けていて介護保険料段階が1・2・3
(非課税世帯)
3、介護保険法による要介護3・4・5の認定を受けていて介護保険料段階が4
(非課税世帯で本人非課税)
2と3の対象者は紙おむつを使用している事の証明が必要らしいがどう証明するのだろう
難しい事はさておき、Fさんによると母さんは今、介護保険ではなく脳梗塞後の治療中
医療保険対象の長期療養型だから入院扱いだと言う 
それにここは施設ではない
母さんが3階の古巣に帰ってきた3月27日から対象になったので
当然おむつ券を受け取れるはずだと言った 

「ちょっと待っていて、折角市役所に行っても対象外だったら無駄足になるから
聞いてみるから」直ぐ電話をしてくれた 

市職員の話では明日その券を父の元へ発送予定だと言う 
丁度今日帰りにフラットシートを購入するつもりだった
『Fさん尿取りパットも対象になる?』 「勿論よ」 
じゃあ明日の発送を待っていられない、
これから市役所に行って手続きを済ませその足で補充のシートに変えて来ようと思った 
Fさんはもう一度電話をかけ直してくれて直ぐ券をもらえるか確かめてくれたところ
必要書類を書けば直ぐ手渡されると言う、ありがたい、これは父さんの為だ

高齢者福祉課にて
『介護員Fさんからおむつ券のことを聞いて来たのですが…』
さっき電話で話した担当の人が直ぐデスクに来た

「書類サインをお願いします 次回の券は8月に支給されます」 
母さんには次回なんてもうないよ…

「申請が今日ですので22枚に減りますがご了承ください」 
そんな交付があるなんて知りもしませんでした 

おむつ券は年3回、4月・8月・12月に再審査を行なって24枚交付されるようだ

『もう1ヶ月早く交付をしてもらえたら家族は随分助かったのですがね』
「申し訳ありません 対象者リストを作るのに時間がかかるものですから」 
遅れるのはそっちの一方的な理由だろう、問題は何故申請日に拘るのだ 
何故対象になった日に遡って配布しないのだ 
介護保険負担限度額認定の時もそうだった

封筒を握りしめて市役所を出た 
温度が上がった車中で1回の買い物に何枚の券が使えるのか確かめたが
別に制限がないようだ 
ピンクのおむつ券を暫く見つめエンジンをかけた 
母さんにはもう22枚の券を使い切る時間はない 全て今日使い切ろう! 
余った物は腐るものではない
2軒のドラッグストアを回って支給されたた¥22,000全ておむつ類を買い揃えた 
大型14袋 トランクに入りきらない物は後部座席に積んだ、まるで業者波の数になった


「どうだった?」病室に戻るとFさんが心配して立ち寄ってくれた
『交付された券は今日全ておむつ類に変えてきました 
使いきれない分は母さんから父さんへプレゼントです』
「YUKIさん、よくやった! 知らないで見過ごすお年寄りが一杯居るの
行政にはいつも腹立たしい思いが一杯、対応が遅すぎるの」Fさんもご立腹だった
母さんは私たちの怒りの会話を静かに聞いていた

4時長女と次女が来た 翔悟を預けて長女は1階のリハビリ室へ
冬音と翔悟は母の足元で病室に入って来る看護師達にあやされて笑っていた

5時いつも通り水分補給が始まった 母さんは微痙攣を起こす事もなく眠り続けていた
帰り際、母さんの同室のおじいさんに声をかけた
『Hさん、赤ちゃん好き?』 「うん」とうなずいた
このおじさんは今日ナースコールの線を首に3重に巻きつけて自殺をしようとした 

数時間前
「看護婦さん、水が欲しいんだよ」と私を呼ぶ『待っていてね、今看護婦さんを呼んでくるから』

「看護婦さん、苦しいんだよ」 『待っていてね、看護婦さんを呼んでくるから』

数分経って様子を見た時には海苔の佃煮のビンの蓋を開けて食べていた 
急いで看護師を呼んだ

「苦しいんだよ もう何もいらないから楽にしてくれ」
今度はそう呟いたがさすがに答えてやれなかった Hさんはずっと壁側に体を向けていた

おじいさんがコードを巻きつけているのを発見したのは様子を見に来た介護員
その時私はおじいさんに背を向けて母さんの顔を見ながらパソコンを打っていた 
婦長や看護師が慌てて部屋に入ってきておじいさんの首からコードを外した 
ナースコールのコードと経鼻カニューラの管も危険だからと持って行かれた 
Hさんはナースコールを電話機だとずっと思い続けていたので
「電話を持っていかれたら話も出来ないじゃないか・・・」と悲しそうだった 
そして家族が来た 婦長は週末に一時自宅で過す事を勧めていた 

明日から翔悟や冬音をHさんにも見せてもっと話しかけてあげよう
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by r-petal | 2007-05-12 08:43
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