同室のみよしさん
昨夜、次女が夕食を済ませて帰った後 空を見つめながら思いを巡らせた
勿論母に対しての思いもあるけれど再び同室になったKおばあちゃんの事

療養病棟には色々な人生を背負ったお年寄りが集まっているが
Kおばあちゃんは寂しくないのかな?そんな思いが襲ってきた
再び一緒になったのも何かのえにしだろう
今日から苗字ではなく「みよしさん」と声かけしたいな

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昏睡状態 経管栄養中止6日目 3階療養病棟30日目 発症から79日目

4月25日(水曜日) 
母さん、記録本を読み直していたら去年の11月22日の出来事が目に留まったよ

その日の母さんは初めておしぼりを巻いた日でね 
いつもなら憂いのため息ばかりなのにいつもと違った笑顔交じりのため息をついて
部屋に帰ってからこう言ったの「YUKI、私はまだまだ死ねないな」って 

あの言葉は母さんが院内仕事を成し遂げた達成感からの言葉だったと思う 
自分は未だ役に立っている人間なのだって言う自信 
母さんはプライドの高い人だったからね 

今だったらきっとこう言うだろう「YUKIもう十分だよ 早く死にたいよ」って
でも今の母さんは自分の願う通りには出来ない状態
8ヶ月前と同じ ここで暮らしたくなくても強いられたように
そうしたのは私だ・・・

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1:30pm 病室に入ると昨日予想した通り母さんの酸素マスクは外されていた

顔を拭く時思った こすると痛みを感じないかなって
それほど母さんの皮膚は薄くなった気がする
優しくトントン調子だね 
そう言えば伯母が痒いと訴えた時このトントンをしてあげてたっけ

Fさんと母さんの入浴のことで話し合った 
先々週痙攣が起きてから中止になっている 
点滴も酸素マスクも取れた事だから母さんのバイタルサインさえ良ければ
明後日か来週の火曜日には入れてもらえそうだ 嬉しいな
「YUKIさんと約束したけさよさんの髪をカットしなきゃね」Fさんも嬉しそうだった

看護師が2人来てシーツ交換になった
『今日から水分量が300mlになったのですね』と主任に言うと
「本当に経管栄養は入れなくて良い?」と聞かれた

母さんのあの言葉が聞えた様な気がした『続行でお願いします』と答えた
腎臓低下が現れているようだから
もしかしたら日に900mlは更に浮腫みが出るかもしれない
その時はまた600mlに減らされるだろう

3階で歌会が行われた 
母さんの病室の前を車椅子に乗ったお年寄りが何人か通過して行く
会場の談話室は母さんの病室からすぐ近くなので
こいのぼりで始まった歌会は司会者の声もみんなの声も良く聞こえてくる 
私も一緒に母さんの髪を撫ぜながら小声で口ずさんだ

歌会の半ば、富士山の歌の途中後ろのドアが閉まった 何だ?
多分介護員の誰かがうるさかろうと気を使ってくれたのだろうが
それでも結構歌声は聞こえてくる(笑)
院内行事の最後の締めくくりはいつも【信濃の国】今日もそれが終わりの曲だった

3時のおむつ替えもいつも通りに看護師と終了 
尿量も結構あった 新たな床ずれもなし

4時の検温36.1度 血圧も130 安定状態 
顔が赤くなるのもいつもの事だ、母さんは凄い生命力だ

婦長が母さんと同室のKさんの様子を見に来た 
全く無反応で酸素マスクはしていないが母さんより状態が悪いように感じる 

「Kさんは身寄りがないの」その言葉はショックだった
『もしもの場合Kさんは誰が迎えに来てくれるのですか?』
「福祉事務所からの依頼だから多分・・・」
だからKさんには見舞い人も来なかったのね
こんな事なら元気な時にもっと一杯話してあげれば良かった
反面、どんな思いで母さんと私を見ていたのだろう

婦長は母さんの頬を触りながら「だからけさよさんは幸せよ」と言った
その言葉を聞く度私の方が母さんの側に居られて幸せなのだと思う
色んな人生を背負ったお年寄りがここには居るのだな…

K医師が母さんの様子を見に来てくれた
「ピクピクなどの微痙攣はありますか?」 私の居る限りその様子はない
「痙攣止めの薬も引き続き飲ませていきます」と言った
水分だけの経管について何か言われるかと思ったが
その事には何も触れず病室を出て行った

看護師が母さんの記録書きにR10と記入して行った 今夜は下剤服用か…

帰り間際、Kさんは母さんとは逆に酸素マスクをつけられた
 
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by r-petal | 2007-04-26 09:06 | Comments(0)
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