続:ガラスの状態
朝7時少し前、自宅の電話の受話器を取った時だった
私の携帯が鳴った 夫からだ
出勤前に病院に立ち寄り母の様子を見てくれたようだ
「口が頻度に動いている状態だったけれど体には痙攣が起きていない様だ」

改めて病院に電話を入れ更に詳しい様子を聞いた
痙攣は完全に止まらず微痙攣が続いていて
夜間に二度、痙攣止めの薬を追加したようだ
熱はなく血圧も160~170で治まっているとの事

早速この事を父と姉に電話した
『姉さん お互いの体管理しながら頑張ろう』
普段強がりを言ってた姉が私以上のガラスの持ち主だと初めて知った

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経管栄養28日目 3階療養病棟24日目 昏迷状態73日目

4月19日(木曜日)  
母さん、午前中はまたまた娘達が我が家に集まって楽しくお昼を食べて
いつも通りに母さんに会いに行ったのに・・・
今日はいつも通りの母さんじゃなかったね
私の処置が遅れた為に母さんには辛い思いをさせてごめんよ

自然に逝って欲しいと願ったけれど母さんの場合は更に試練が必要だと思った
そしてその姿を見せられる私達も母さんと同じ思いを乗り越えなくちゃなんだね
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1:30pm 母さんは寝ていた 
呼びかけで薄めを明けたが目やにが酷くて開かない状態だった

いつもより少し熱めのお湯でタオルを濡らして暫く両目の上に置いた 
ふやけてまつ毛の目やにも綺麗に取れた 
午前中娘たちと過した様子を話しながら手足をいつも通りに拭いて保湿剤を塗った

2時10分頃今度はバケツにお湯をくみ
カーテンとドアを閉めて上半身そして下半身の体拭きを終え
おむつ替えをしていると看護師が入ってきて一緒に手伝ってくれた 

バケツのお湯を捨てに行こうとドアを開けたら従姉が待っていてくれた 
看護師は従姉の姿を見て早く済むよう手伝ってくれたのだろう 
従姉は婦長と話をしていた

病室に戻り洗浄の際外したタオルなど足に置きなおした
床ずれ防止枕をあてがったり・・・ひと仕事終えた時だった 

母さんの左手がいつもと違う動きをした 
大きく震えたと同時に大あくびをした・・・と思ったが違う! 
口を縦に大きく広げ顔面が歪んで頭が仰け反った
その顔は9年前初めて脳梗塞を起した時と同じだった

後はよく記憶になく私の隣に従姉が居た
3階に移動後、母さんの痙攣は丁度一週間前の水曜日 
時間もほぼ同じ頃 でも前回とは全く違う始まりだった 
その痙攣は2分もしない内に納まったが直ぐまた更に強い痙攣が始まった 
2:45頃だった

従姉に父や姉の電話連絡を頼み
母さんの体を抱きしめていると婦長とFさんが入って来た
今日二度目の痙攣が始まって5分は経過した
「どうしますか? 痙攣止めの薬を入れる? それともこのまま見守る?」

言葉が出てこない 早急に決断しなければいけないのに言葉が出てこない
婦長の顔を見た Fさんの顔を見た
『私はどちらを選べば良いのですか?』逆に聞いた
「一時痙攣止めの薬を入れてもまた同じ事の繰り返しになるけれど耐えられる?」
前回の痙攣の様に暫くすれば治まるのを信じて『見守ります』と答えた

この時から今が何時で、いつ誰が病室に入ってきたのか分からなくなった
母さんの目の前に膝づいて顔や髪を撫ぜるのに必死だった 
そして「母さん もういいよ もう頑張らなくていいよ」

姉さんが駆けつけてきて母さんにすがり付いて泣いた 
母のこの姿は姉には衝撃的だったろう
私以上にガラスの状態だった
 
しっかりしなきゃ! 
席を立ってナースステーションに向かい婦長に院長と話が出来る様頼んだ
数分後看護師が迎えに来た 院長とは電話で話した
「お母さんの状態では痛みも苦しみも感じてはいないはず 
安楽死的行為はこちらでは・・・」
認められないのは百も承知だ でも何か手があるはず 何の為の医療だ

婦長と話をしていると夫がやって来た
「一時でも良いじゃないか 痙攣を止めてやろう 
あのままじゃお袋さんが可哀相だ」
2時間はとっくに過ぎてしまった そうだよね、一時でも楽にしてあげよう

一時的に痙攣を抑える薬と2階医療病棟で使っていた痙攣予防薬が点滴から投与された
痙攣時間が長かった分薬の効き目が遅くなるとK女医は言った
母さん ごめんよ もっと早くに決断すべきだったね ごめんよ

呼吸抑制の恐れがあるので酸素吸入が出来
ナースステーションに一番近い部屋302号室に移動された 

ここは・・・母さんが入所して15日目から住み始めた部屋だ 元に戻ってきたんだ
あの頃はまだ問題行動があって看護師の監視下に置かれる為だった
昨年9月14日~10月26日まで一ヶ月と二週間近く過したこの部屋で
母さんとの生活がまた始まった ここが最後の部屋になるのかな・・・

薬が効き始めて母さんは目を閉じた 痙攣は幾分治まってきた
親戚が帰り、姉が仕事に戻り、父が帰ってから夫と私も病室を後にした 
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by r-petal | 2007-04-20 08:38
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